- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2004/03
- メディア: 単行本
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「ポンツーン」2003年1月〜2004年1月まで連載された作品。帯の言葉は、長谷川京子。
一応殺人事件はあるものの、どちらかといえば主人公とヒロインの青春物語に近い。それが悪いというわけではないし、貫井らしい結末を持ってきているとは思うが、物足りなさを覚えたのも事実。結局私が読みたかったのはミステリであり、感動物語ではなかったようだ。この手の物語は嫌いではないし、むしろ好きな方なのだが、貫井の手に掛かると、何となく作り物めいたところが今ひとつ没頭できなくなってしまう。
この人の代表作が今でも『慟哭』になってしまうのは、テクニックは向上したけれど、それ以上に作品に対する情熱が無くなってしまった部分にあるんじゃないだろうか。感動してください、泣いてください。そんな意図がどうしても見えてきてしまう。がらっと違う傾向の作品をじっくりと書いてみたとき、この人は生まれ変わるんじゃないかと思う。