- 作者: 天藤真
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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窃盗で捕まった常習犯は、後半でとんでもない嘘をつく。法廷コント「公平について」。
3000万円強盗殺人事件で捕まった男の無実をはらさなければならない。状況証拠では絶対不利な状況を覆すために、雲をつかむような証人さがしを命じられた私。中編、「雲の中の証人」。
一族から排除された男が考え出した殺人計画。「赤い鴉」。
事故で心が入れ替わってしまった男同士の、その後の悲劇。「私が殺した私」。
希望校には入れず、地方の大学に入って絶望状態だった私の前に現れた、すてきな助教授。女子大生の悲喜劇を書いた「あたしと真夏とスパイ」。
一見単純にみえた傷害致死事件の真相は。「或る殺人」。
他、ショートショート「鉄段」「めだかの還る日」。
1962〜1972年に発表された中短編を集めた推理小説全集第15巻。
中編「雲の中の証人」に見られるような、人を食ったような設定がこの人の持ち味の一つなのだろうと思う。ちょっと呆気にとられるような状況で、どのような解決を見せるか。そこまでのコミカルなやり取りが面白いといえば面白い。ただね、この人は短編より長編の方が、持ち味を出し切ったんじゃないだろうか。短編だと、何となく中途半端で終わっている気がするんだよね。もっと書くことができたんじゃないか、みたいな。