- 作者: 夏樹静子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/07
- メディア: 文庫
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ユキ子は取材で松江の老舗旅館を訪れる。無事に取材が終わり帰ろうとしたとき、女将の旦那が人を殺害したと耳にする。先日に気になる話を聞いていたユキ子は密かに事件を追いかける。「湖に佇つ人」。
国会議員の妻である圭子は、ある殺人事件で起訴された塾教師の市原へ面会に行き、そして叫ぶ。私は事件と無関係である、と。市原は自供を翻し、無罪を訴えるようになる。しかし証拠はそろっていた。「駅に佇つ人」。
志摩へ旅行に来た季江子は、交通事故の目撃者になる。運転手の女性は軽傷だったが、助手席の男性は死亡した。普通の交通事故かと思われたが、男性はプレイボーイという評判があり、警察は捜査を始めた。「闇に佇つ人」。
1987年に講談社から出版された作品の文庫化。
大切なものを守ろうとする女性の様々な姿を描いた短編集。女性心理の描写は相変わらず巧みである。手慣れているというか、安定しているというか。新味はないが、読んでいて退屈はしない。
ただ、「駅に佇つ人」の展開はちょっと目を引いた。主眼はあくまで愛する男を助けようとする圭子の姿であろうが、その裏に隠されたもう一つの謎にはびっくりした。