平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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江戸川乱歩『ふしぎな人』(光文社文庫 江戸川乱歩全集第21巻)

江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人 (光文社文庫)

短編「妻に失恋した男」。リレー小説の問題編を書いた「秘中の秘」「魔王殺人事件」。少年もの「奇面城の秘密」「夜光人間」「塔上の奇術師」。幼年もの「ふしぎな人」「かい人二十めんそう」「かい人二十めんそう」を収録。



ポプラ社、角川文庫、創元推理文庫、そして講談社の乱歩推理文庫と、乱歩を読み続けてきたせいもあってか、今回の光文社文庫版全集は買う気が全く起きなかった。今回買った理由は、本として初めてまとめられた幼年ものが収録されているからに過ぎない。中身は他愛ない作品であり、コメントのしようがない。幼年もの以外はいずれも再読、というか、乱歩は何十回読んだかわからないぐらい読んでいるので、今回はさすがに読む気が起きなかった。それでも「夜光人間」は割とお気に入りだったので、久しぶりに読んでみた。

今回の全集は作品の発表年代順にまとめられているので、大人ものと少年ものがごっちゃになっている。こういう形で並べられるのはあまり面白くなく、できれば大人ものと少年ものは分けてほしかったところだが、たぶんそうすると少年ものが売れなくなってしまうのだろう。

乱歩推理文庫の頃は、少年ものでもそれなりに面白く読めたのだが、今回「夜光人間」を読むとさすがにきつかった。子供の頃の純真さが無くなったのか、と思ってしまい、今更ながら自分が年を取ったことを実感してしまう。この荒唐無稽さについていけなくなった自分が寂しい。