平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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桜井一『86分署物語 名探偵退場』(青樹社 BIG BOOKS)

86分署物語 名探偵退場 (BIG BOOKS)

86分署物語 名探偵退場 (BIG BOOKS)

 巨大団地ができて「村」から「市」になったせいで「駐在所」からいきなり「署」に昇格してしまった86分署はてんやわんや。刑事たちの名前だけは内外の名探偵にそっくりだが、実はつい先日までは経験の浅い平巡査だったものばかり。しかしこんな86分署にも事件は舞い込む。抱腹絶倒の迷推理と珍解決が展開する傑作短編集。(粗筋紹介より引用)

1985年3月〜1987年3月まで「ミステリマガジン」に連載された短編パロディ小説を86分署シリーズに書き改め、新たに短編1本を書き下ろした連作短編集。



古本屋で見つけ、実家にあることを知りながらも思わず買ってしまった。このシリーズは、連載の頃から好きだったんだよね。馬鹿馬鹿しいものがほとんどだけど、その馬鹿馬鹿しさに笑ってしまう。連載の頃も好きだったけれど、こうして一冊にまとめられたものを読むと、馬鹿馬鹿しさが二乗、三乗に重なってよけいに笑ってしまう。わざわざ86分署もの(マクベインの八十七分署シリーズのパロディ。余計なことだが、念のため)に書き改めたのだから、大したもの。収録されていない短編があるのは残念。珍しくシリアスな「罪の老人」は87分署ものに改めるのは難しいかもしれないが、最初から伽羅警部が出ている「水晶の瓶」(だったっけ?)が収録されなかったのは悲しかった。