平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

ジェフリー・アーチャー『ロシア皇帝の密約』(新潮文庫)

ロシア皇帝の密約 (新潮文庫)

ロシア皇帝の密約 (新潮文庫)

 

  1966年、元英陸軍スコット大尉は、無実の罪を着たまま死んだ父から、「皇帝のイコン」と呼ばれる名画を遺された。遺産を受けとりに出かけた彼を待っていたのは――。(粗筋紹介より一部引用)
 1986年、発表。同年10月、新潮文庫より翻訳刊行。

 

 アーチャーは1985年9月にイギリス保守党副幹事長に抜擢されて政界復帰していたが、本書はそれ以前に脱稿されていたもの。冷戦中の米ソが狙う名画。その目的は何か。それが粗筋紹介に書かれている、というのは反則だよな。
 巻き込まれ型のノンストップ謀略小説。アダム・スコットをなぜそんな都合よく助けるの? といったご都合主義はあるものの、追われ続けるサスペンスはさすがというしかない。ちょっとわかりにくいところはあったが、あまり気にせず読み終えることができた。楽しかった。
 時間がないので、超手抜き感想だが、名作だし、今更いいでしょ。

「推理クイズ」の世界を漂う

http://hyouhakudanna.bufsiz.jp/mystery-quiz/index.htm
「このクイズの元ネタを探せ」に推理クイズを1問追加。元ネタ情報追加。「お馬鹿な推理クイズを求めて」に元ネタ情報追加。
 情報をいただきました。有難うございます。やっと更新できました。
 藤原宰太郎先生が2019年5月に亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。推理クイズ全集、出ないかな……。

年末の死刑執行について

 正直に言っちゃうと、年末の忙しい時にどさくさに紛れて執行してしまっている、という感が強い。死刑制度を存続させるなら、もっと堂々としていればいいのにと思ってしまう。
 それはともかく、日弁連アムネスティ真宗大谷派あたりが毎度のごとく抗議声明を出しているのだが、江川紹子が言うように、死刑判決が出た時点で抗議するべきだ。それも裁判所の前でだ。そのほうがよっぽどアピールになる(昔は、判決時に裁判所の傍聴席から抗議していたケースがあった)。それができないのは、被害者遺族や犯罪を許さない世間の目が怖いからだろう。なんのことはない、こそこそしているのは彼らも一緒だ。

犯罪の世界を漂う

http://hyouhakudanna.bufsiz.jp/climb.html
「死刑確定囚リスト」「死刑執行・判決推移」を更新。
無期懲役判決リスト 2019年度」に2件追加。
「求刑無期懲役、判決有期懲役 2019年度」に1件追加。
「求刑死刑・判決無期懲役」を更新。
色々と疲れています。やる気? そんなものありませんよ。わかっていてやっています。パワハラだね、あれは。
ということで忙しく、全然更新する気力が起きませんでした。M-1も見て感想も書いたんだけどね。もういいや。
12月に執行があるかどうか半々でしたが、人選が意外でしたね。何か他にも書こうと思ったんだけど、もう思い出せないや。

犯罪の世界を漂う

http://hyouhakudanna.bufsiz.jp/climb.html
最高裁係属中の死刑事件リスト」「死刑執行・判決推移」を更新。
 山田浩二死刑囚については、取り下げ無効の決定が確定次第、リストを移動させます。
 山田死刑囚の控訴審再開については、被害者遺族には申し訳ないけれど、後でグダグダ言い続けるぐらいなら今のうちに控訴審を再開させたほうがいいのかな、という思いが半分です(最もこの死刑囚の場合、最高裁で死刑が確定したとしてもグダグダ言いそうですが)。ただ、控訴審だと無期懲役減刑するんじゃないか、という恐れも半分あります。

エリザベス・フェラーズ『細工は流々』(創元推理文庫)

細工は流々 (創元推理文庫)

細工は流々 (創元推理文庫)

 

  ある晩、突然トビーを訪ねてきた娘は、理由は聞かずに15ポンド貸してくれないか、といった。翌日、トビーは匿名の男からの電話で、彼女が殺されたことを知る。“時々、殺してやりたくなる”くらい、お人好しで人を疑うことを知らなかった彼女が、どんなトラブルに巻き込まれていたというのか? 警察に嫌がられながらも、現場となった部屋を調べたところ、奇妙な仕掛けが見つかった。どうも、推理小説に出てくるようなトリックをいろいろ試している奴がいるらしい。はたしてその正体は? そして、事件との関係は? 大好評のシリーズ第三弾。(粗筋紹介より引用)
 1940年、発表。1999年12月、創元推理文庫より邦訳本刊行。

 

 トビー・ダイクシリーズ第三弾。『猿来たりなば』は読んでいるのだが、『自殺の殺人』は買ってあったはずなのにどこにも見当たらない。ということで、先に見つけたこの本を読むことにした。もっとも、実際には本作品は第二作で、『自殺の殺人』は第三作、『猿来たりなば』は第四作。だからまあ、いいか。<br>
 トビーとジョージのねじくれた関係は本作でも健在。被害者も容疑者も癖のある人たちばかり。おまけに色々なところに機械トリックが仕掛けられている。なんとまあ、ひねくれた設定。英国流のユーモアで、本格ミステリを皮肉たっぷりに書いたらこうなる、という典型的な作品かもしれない。きちんと伏線も張られ、明快に犯人が導かれるのに、こうもトビーとジョージの行動と言動に笑えてしまうのはなぜか。これが英国ミステリなんだろうな。
 英国流のユーモアが苦手なんだが、本作は楽しく読むことができた。逆に洗練すぎていないほうが笑えるのかな。