- 作者: 雫井脩介
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/10
- メディア: 単行本
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2008年10月、書き下ろし刊行。
雫井脩介にしては珍しい心理サスペンス。小説とは関係のないはずの自殺系サイトに興味を抱く小野川充に戸惑う待居涼司。さらに、かつてネット心中について著書を出した今泉知里の力を借り、サイトの人物の正体を追おうとする小野川。いくらなんでも強引な展開だと思うが、狂気という言葉と読みやすさで誤魔化している気がする。結局最後までそんなペースで進むものだから、違和感を抱いたまま終わってしまったのは残念。作者の言いたいことは分からないでもないが、それを言いきろうとするならもっと内面を深く掘り下げるべきじゃないのかと言いたい。読みやすさを優先して削っているのだろうが。
待居涼司の鬱屈した部分は、作者自身を投影したものだろうか。となると、異常なハイテンションの小野川充にもモデルはいるのだろうか。
読み終わってみて、悪くはないし、スカスカ読めるんだけど、もやもやしたまま終わってしまうもどかしさがある。もうちょっと説得力ある言葉が欲しかった。