- 作者: 志水辰夫
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1993/06
- メディア: 文庫
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二転三転する敵と味方。罠と裏切りの荒野に、男の孤絶の闘いがつづく。圧倒の冒険長篇。(粗筋紹介より引用)
1989年5月、徳間書店より単行本刊行。1993年6月、文庫化。
タイトルから内容まで、冒険小説の傑作、ギャビン・ライアル『深夜プラス1』のオマージュ。日本に移植したらこうなりますよ、といった作品である。広いアメリカと、狭い日本を比べるまでもなく、スケールが小さくなるのはわかりきったこと。それでもやはり、今一つ感があるのは拭えない。
逃走ルートを車で走ったことがある人には、色々と思いださせるものがあるのかもしれないけれど、それ以外の人にとっては、あまりリアリティが感じられない。いや、描写が優れているのは分かるのだが、どこか想像上の出来事にしか見えず(いや、想像なんだけど)、それほど緊迫感も伝わってこない。
何も無理してオマージュしなくても、と思わせる一冊。逆に『深夜プラス1』を呼んでいない人の方が、面白がるかもしれない。