- 作者: 斎藤栄
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1986/06
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
1979年8月、カッパ・ノベルスより書き下ろし刊行。1986年6月、光文社文庫化。
『奥の細道殺人事件』『徒然草殺人事件』に続く歴史の謎シリーズ第三弾。「歴史の謎」と謳っており、古典作品の裏に隠された真実と現代に起きた殺人事件を融合させたシリーズである。ただ、「裏に隠された真実」については、世間でよく広まっている説を取り上げているだけであり、実際に立証しているわけではない。メインはあくまで、現代の殺人事件の方である。
本書も『徒然草』に隠された暗号を解く展開があるものの、現代の殺人事件とかかわりがあるわけではない点が辛い。歴史の謎が小説への色付け程度の飾り付けにしかなっていない点が残念。現代の殺人事件の方は密室殺人だが、こちらの方はあまりにも大掛かりで、面白みに欠ける。結末のサプライズはあるものの、その点は警察だったら最初に調べるんじゃないかと疑問に思った。
力は入っているものの、肩透かしに終わった感が強い作品。もっとも斎藤栄の代表作の一つだよな、これ。