平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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東川篤哉『殺意は必ず三度ある』(実業之日本社 ジョイ・ノベルス)

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)

敗退を続ける鯉ヶ窪学園野球部グラウンドから、なぜかベースだけが盗まれた。オレ(=赤坂通)が在籍するお気楽探偵部員の総力を結集しても謎は解けない。後日、野球部とライバル校との練習試合終盤に事件は起きた。衆人環視の球場で発見された野球部監督の死体――。動機は不明、球場ではアリバイ実験も行われるなど混迷を極める事件に、オレたち探偵三人が首を突っ込んだ。しょうもない推理合戦の先に待つものは……?(粗筋紹介より引用)

2006年5月、書き下ろし刊行。



『学ばない探偵たちの学園』に続くシリーズ。前作は一応読んでいたが、あまり感心する出来ではなかった。いくらユーモアミステリとはいえ、高校生がホイホイと殺人事件に絡むというのがどうもダメだったのだが、その印象は本作でも一緒。練習試合見学中にバックグラウンドで見つかった死体。明らかに他殺。さらに二番目、三番目の事件も発生。内容としてはかなり深刻なのに、登場人物たちは警察も含めあっけらかんとしたもの。緊迫感も悲愴感も全くないというのは、さすがに受け容れ難いな。事件のトリックも、もともとの球場の設定が頭に入りきらないから、いざ解かれても大した感動も驚きもない。ベースを盗むという設定は確かに活かせたが、感心したかと聞かれるとこれも微妙。とりあえず、そういう結末なのね、という終わり方でしかなかった。

とりあえず手に取ってみたけれど、この作者、ユーモアにとらわれ過ぎな気がしないでもない。