- 作者: トマス・ウォルシュ,杉浦安
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1961/02/24
- メディア: 文庫
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1950年、アメリカで発表(中島河太郎の解説だと、1952年になっている。どちらが正しいのだろう)。1961年2月、翻訳刊行。
作者は1930年代から雑誌に短編ばかりを発表。デビューは『ブラック・マスク』で1933年とのこと。1950年に初めての長編『マンハッタンの悪夢』を発表。本作品は、『殺人者はバッジをつけていた』(原題Push-over)のタイトルで映画化されている。
この頃結構流行っていたと記憶がある、悪徳警官物の一冊。といっても最初から悪人だったわけでなく、目の前に大金がくらんで悪の道に染まったという方が正しいが。
移り気で喧嘩っ早いリチー・マコ―リスター、気が小さくて用心深く酒好きのパディー・エイハーン、そして主人公のウォルター・シェリダンという三人の刑事が銀行強盗の妻の部屋の張り込みをするところから物語は始まる。
テンポは非常に速いし、登場人物それぞれの心情はよく描かれていると思うのだが、視点が三人の刑事を中心にころころ変わるので、物語に没頭できないまま話がどんどん進んでいく。こういう悪徳刑事ものは、主人公一人をじっくり描いた方が感情移入しやすいと思うのだが、いかがだろうか。
ページの薄さもあるだろうが、どことなく海外ドラマを読まされているようだった。まあ、昔のパルプ雑誌を思い出すのならそれでもいいのだろうが、この展開はどちらかといえば犯罪心理小説としてじっくり読みたかったところ。方向違いの感想だが。