平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』(創元推理文庫)

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

「辺境の人」に置き去られた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、私の祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女らを取り巻く不思議な一族の姿を、比類なき筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。第60回日本推理作家協会賞受賞作。ようこそ、ビューティフル・ワールドへ。(粗筋紹介より引用)

2006年12月、東京創元社より書き下ろし刊行。2007年、第60回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門受賞。2010年9月、文庫化。



鳥取県にある架空の紅緑村で製鉄業を営む旧家赤朽葉家の祖母万葉、母毛毬、私瞳子と女性三代に亘る赤朽葉家サーガ。作者によると、万葉の物語である第一部が歴史小説、毛毬の物語である第二部が少女漫画、瞳子の物語である第三部が青春ミステリであるとのこと。第一部で出てくる空飛ぶ男の謎を第三部で解き明かすわけだが、第二部ではその話が関わってこないため、第三部でその謎が復活しても何をいまさらという感がする。不思議な一族なら、そのまま不思議な一族で押し通せばよかったのではないだろうか。

書いてある通り、一部から三部までトーンが違うのだが、そのせいでぶつ切りの短編3本を読まされた気がしてならない。わざわざ「ビューティフル・ワールド」なんて書かなくてもいいと思うけれどね。

出張中の電車の中で読んでいたから一気読みだったが、それほど面白かったとは思えない。間違いなく、この作者とは肌が合わない。