- 作者: 青崎有吾
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/08/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (21件) を見る
2013年8月刊行。
鮎川賞を取った『体育館の殺人』に続くシリーズ2作目。『2014本格ミステリ・ベスト10』(原書房)で国内編第2位ということもあり、とりあえず手に取ってみた。といっても、ここ最近はこのベスト10にほとんど興味ないけれど(苦笑)。
事件から1日も経たないうちに仙堂警部たちが裏染天馬を呼び出すのはどうかと思うが、そこからの展開はまあ悪くない。裏染の家庭の事情や、袴田柚乃の活躍ぶり(スクール水着になったり、カップルにされたり、着替えを裏染妹に覗かれたり)など、単なる推理パズルにならないようなキャラの動きを用意しているところは好印象。アリバイトリックはともかく、全員にアリバイがある展開から一転してアリバイがだれにもないというひっくり返しは楽しめたし、モップとバケツと水滴と足跡から容疑者たちを次々と消去していく推理も面白かった。まあ、分刻みの行動の記憶力や、あそこでモップを使うか、などの突っ込みは野暮なのだろう(個人的な評価は落ちるけれど)。
本作品の一番よかったところは、なぜこのような殺人を行ったのかというところが明解にされているところかな。はっきり言って後味が悪いものではあったし、そもそも水族館が閉館になったらどうしていたのだろうという疑問はあったのだが。
シリーズものという点を差し引いても、第1作より出来はよい。推理部分だけではなく、キャラクターの部分でも楽しめるようになっている。本格ミステリ大賞の候補になるだけのことはあると思った。
どうでもいいが、アニメネタが一部古すぎるのはどうにかならないか。