平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ピーター・ディキンスン『キングとジョーカー』(扶桑社海外文庫)

キングとジョーカー (扶桑社ミステリー)

キングとジョーカー (扶桑社ミステリー)

現実とは異なる家系をたどった英国王室。王女ルイーズは、いつもと同じ朝食の席で、父王の秘密に突然気づいてしまう。しかしその朝、とんでもない騒動が持ちあがった。食事の皿に、がま蛙が隠されていたのだ! こうして、謎のいたずら者=ジョーカーの暗躍がはじまった。罪のないいたずらは、ついに殺人に発展。王女は、ジョーカーの謎ばかりか、王室の重大な秘密に直面する……CWAゴールド・タガー賞2年連続受賞の鬼才が、奇抜な設定と巧緻な謎解きを融合させた傑作、復活!(粗筋紹介より引用)

1976年発表。1981年、サンリオSF文庫にて翻訳され、一部で評判を得ながらも絶版となっていた名作を2006年に復刊。



名前だけ知られていた作品がこうして改めて復刊されるのは非常に嬉しいこと。瀬戸川猛資『夜明けの睡魔』で名前だけしか知らなかった作品であり、復刊された時にすぐ購入。それでも読むのは今か、私は。

架空の英国王室を創り上げ、そこで発生した悪戯が殺人事件にまで発展するという展開。日本の皇室でこんなものを書いたら、間違いなく非難ごうごうだろうなと思ってしまったが、こういう作品が書けること自体がお国柄か。正直言って、なぜパラレルワールドの英国王室を作り上げてミステリを書きたかったのかは最後まで理解できなかったし、この事件の動機もよくわからなかった。読み込みが足らないのだろうなあ……。まあ、期待していたほどではなかったというのが正直なところ。というより、作風を問わず英国本格ミステリは肌が合わないというのが本当のところか。この英国ならではのユーモアとアイロニーが、どうも理解できないのである。

まあ、この設定と作風を知るだけでも損はないところか。一応ほかの作品も見つけたら読んでみよう。