平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ドナルド・E・ウェストレイク『踊る黄金像』(ハヤカワ・ミステリアス・プレス文庫)

踊る黄金像 (ミステリアス・プレス文庫)

踊る黄金像 (ミステリアス・プレス文庫)

頼むから話しかけないでくれ。おれ、急いでいるんだ。何でかって? 実は、南米某国から盗まれた黄金像の行方を追っているんだ。そいつを狙って悪党どもが争奪戦を繰り広げててさ。しかも、複製品が十五台あって本物がどれだかわからない。もう大混乱さ――。ま、詳しくは中身を読んでくれ。ミステリ史に残る大傑作だってことは保証するよ。じゃあ、おれ、急ぐから。(粗筋紹介より引用)

1976年、アメリカで刊行。1994年翻訳。



いやあ、ミステリアス・プレス文庫ってあったね。懐かしいわあ。ミステリアス・プレス・グループという名前も、ちょっと惹かれたあのロゴも懐かしい。最初に日本で出版されたのって、ウールリッチの長編だったっけか。ハードカバーで。文庫の最初はエルキンズの『古い骨』だった。どっちも読んだ記憶がある。もう20年以上も前の話だった。

オレンジ色の背表紙が懐かしいこの文庫だが、ウェストレイク名義の長編を読むのは初めて。「悪党パーカー」ものは何冊か読んだことがあるけれど。テーマとしては、コナン・ドイルの某短編にあるようなあのネタだが、内容は完全なドタバタもの。スラップスティックといった方が正しいか。全部で16体のアステカ僧侶像が出てくるので、登場人物も最初から結構多い。そして結構長い。正直なことを言うと、最初で「ハッスル」しすぎて、途中でだれてしまった感がある。登場人物表がなかったら、誰だかわからなくなって途中で投げ出していたかもしれない。まあ、結末の方はお約束とはいえ笑えたが。

時間のあるときに一気に読むべき本。細切れに読んだら、何がなんだかさっぱりわからない。私も一度はそう読んで途中で放棄し、後日出張の新幹線の中で読んだクチ。