平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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魔夜峰央『May(メイ)(たぶん)探偵プリコロ』(祥伝社 ロマ×プリコレクション)

May探偵プリコロ (Feelコミックス ロマ×プリコレクション)

May探偵プリコロ (Feelコミックス ロマ×プリコレクション)

マッシュルームの輸出と観光が主な収入源であるヨーロッパの小国、コロネラ王国。王子であるプリンス=コロネットの正式な名前は、エルキュール=ファイロ=エラリー=コロネット。父国王が大のミステリー好きなので付けられた名前だが、本人もミステリーマニアとなり、そしてついには名探偵になりたいと、弱冠11歳で小さな探偵事務所を開くこととなった。しかし欧州で犯罪発生率がいちばん低いコロネラ王国なので、名探偵が解くような事件はなかなか発生しない。それでも事件は起きるものなので……。無理矢理事件に乗り出したプリンスが、名推理によって犯人を指摘する。しかし名探偵の退場後に犯人へ問い質すと、事件の真相は全く違ったもの。推理は出鱈目なのに、なぜか真犯人を指摘してしまうプリンスの活躍を描いた「May探偵誕生!!」「鬼運べ」「Vの悲劇」「クリキントン殺害事件」の4編を収録。
今回は魔夜峰央祭りということで、白泉社集英社秋田書店祥伝社と4社から4冊同時発売。帯には4冊そろったら完成する「描きおろし4コマ」付き。「ロマ×プリ」って聞いたことがない雑誌だけど、どうやら季刊誌のよう。ラインナップを見ると、かつての大御所がそろっているというところか。
作者が語るように「脱力系推理マンガ」。確かに聞いたことがないジャンルだし、それなりに成功しているようには見えるけれど、プリンスが推理する前と後のギャップを付けながら整合性を取るのは結構大変だろうな、と思ってしまう。だけどネームを取らずに描いているんだろうと思うと、それだけで感心してしまう。
作者にそこまでの意図はないと思うが、新人作家にありがちな、証拠も大してないのに奇天烈な連想推理を繰り広げることを本格ミステリと勘違いしている作品を笑っているようにも見える。
さて、どうやら続くようなので、次巻を楽しみにしよう。