平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ニコラス・ブレイク『殺しにいたるメモ』(原書房)

殺しにいたるメモ

殺しにいたるメモ

戦死したとされていた元同僚が、突然の便りとともに帰国。そして久しぶりに昔のオフィスに顔を出し、かつての仲間とともに即席の帰国歓迎会となったが、それもつかの間に、一転して「殺人」の舞台と化す――全員に振る舞われたコーヒーのひとつに、いつのまにか毒薬が仕込まれていたのだった。

誰一人として犯行の瞬間を知らず、しかも当然あるべきはずの「毒薬の容器」さえ見つからない!!

衆人環視の密室状況下で、いったい誰が、いかにしてこの大胆な犯行をなしえたのか、そしてその動機とは……。

被害者をめぐる複雑な人間関係と、「容疑者たち」の不可解な言動の数々をまえに、探偵ナイジェル・ストレンジウェイズは何を読みとり、いかなる「結論」を導き出すのか。

徹底的に論理にこだわった本格「フーダニット」ミステリの傑作、ついに登場。(粗筋紹介より引用)

野獣死すべし』等でおなじみの作者による1947年発表作品。1998年翻訳。



終戦直後のイギリス、戦意昂揚省広報宣伝局(すごい名前だ)を舞台にした本格ミステリ。衆人監視下で行われた毒殺。被害者は還ってきた元同僚の元婚約者。しかも、彼女は上司と不倫をしている、といういかにも何か裏がありそうな舞台。しかもその毒の入った不溶性カプセルを持ち込んだのは元同僚というのだから、疑惑の芽は至る所にある。

ところが、そこからは探偵ナイジェル・ストレンジウェイズが容疑者に尋問し、検証を続けながら推理を繰り広げていく地味な展開が続くので、こういう作りの本格ミステリが好きな人にはたまらないのだろうが、個人的には退屈だった。特に真相をだらだらと語っているのはマイナスポイント。あそこはさっさと決めてほしかった。

こういう英国本格ミステリは肌が合わないらしい。なかなかのらないんだよね、読んでいても。