平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ナンシー・スプリンガー『エノーラ・ホームズの事件簿〜消えた子爵家の子息〜』(小学館ルルル文庫)

エノーラ・ホームズの事件簿―消えた公爵家の子息 (ルルル文庫)

エノーラ・ホームズの事件簿―消えた公爵家の子息 (ルルル文庫)

シャーロック・ホームズの妹、元気いっぱいのお嬢様エノーラは、失踪した母が残した暗号を解くことで大都会ロンドンに向かうことに! 気の詰まる貴族教育から抜け出した彼女が最初に遭遇した事件は、名門貴族嫡男の失踪事件。名探偵の兄シャーロックゆずりの推理力でエノーラが導き出すのはどんな真実なのか? ヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台に、謎と冒険に満ちたミステリーがはじまる。(粗筋紹介より引用)

2006年、アメリカで発表。



あとがきによると、作者のナンシー・スプリンガーはアメリカの作家。児童文学を中心に、ファンタジーやミステリなど、幅広い分野の作品を40冊以上も発表。1995年にエドガー賞(YA小説部門)、1996年にエドガー賞(児童図書部門)を受賞。本作品も2007年度エドガー賞(児童図書部門)の候補に挙がっている。

ホームズに妹がいた、という設定だけで購入。暗号趣味の母親の失踪。母親が残した様々な暗号。寄宿学校に押し込み、淑女教育を押しつけようとした兄マイクロフトを出し抜いてロンドンへ向かう主人公。遭遇する貴族嫡男失踪事件。兄シャーロックでも解けない母親失踪の謎を追いつつ、嫡男失踪の事件まで解いてしまう14歳のお転婆娘……もとい、レディ。設定が面白い。ヴィクトリア朝のイギリスの描写もなかなかだし、時代の風潮に逆らうような主人公が活躍するというのもワクワクさせる。暗号が多すぎるのはちょっと疲れるが、すぐにエノーラが解いてしまうので、頭がこんがらがることもない。児童図書部門の候補に挙がるのもわかる気がする。

母親失踪からロンドン逃走までの部分が長く、嫡男失踪事件が短くなってしまった。二つの事件を詰め込んだため、印象が散漫になってしまったのはちょっと残念。どちらか1本にしぼって書いた方がもっと面白くなったと思う。

それでもなかなかの拾いものだったとは思う。シリーズ化されているのかな? 次も出れば買おうと思う。