- 作者: 天童荒太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/02/28
- メディア: 文庫
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1993年、第六回日本推理サスペンス大賞優秀作受賞作品を文庫化にともない大幅に加筆訂正。
深夜のコンビニエンス・ストアでアルバイトをしながら歌い続ける「おれ」。コンビニ連続強盗事件を担当しながら、女性猟奇連続殺人事件を追う婦人警官の「わたし」、そして連続殺人犯の「彼」。この三人が主人公。
主人公たちが自分の心にある暗闇の部分を吐き続けるというのは、後の作品と変わらない。“孤独の歌声”というキーワードは物語でうまく使われていると思う。ただ、なんとなくもやもやしたまま終わってしまうのが残念。闇の部分が強すぎて、物語に悪影響を及ぼしている感がある。登場人物たちの思いが強すぎて、読んでいるほうも疲れてしまう。
それにしても、この既視感は何だろうか。どこかで読んだことがあるような記憶はあるのだが、それが何なのか思い出せない。もどかしさばかりが心に残る。