平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

犯罪の世界を漂う

「死刑に関するニュース」に12件追加。
「高裁係属中の死刑事件リスト」「死刑執行・判決推移」を更新。
無期懲役判決リスト 2006年度」に1件追加。
「求刑無期懲役、判決有期懲役 2006年度」に1件追加。


今日は死刑存廃問題を考える上で興味深い記事・判決が色々とありました。
まずは奈良地裁での小林薫被告に対する死刑判決。前科があったことや反省の態度を示していないことなどを考慮したとしても、被害者1名での死刑判決というのは、死刑適用の判断指針と言われてきた「永山基準」を越えたものとみなしていいでしょう。個人的には性犯罪に対して厳しく罰するべきだと考えていますので、今回の判決には賛成します。また、今回の判決で被害者1名に対する死刑判決が増える可能性があります。似たような内容である広島のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告の二審が注目されます。異なる点は、「計画性がない」(検察側は計画性があると主張している)「前科が不明」(こちらも検察側はペルーまで人を派遣して調査中)ぐらいですから、裁判所が検察側の主張を全て認めたら、一審が破棄になる可能性も十分にあります。死刑廃止を訴える人々は、「生きて償わせるべきだ」と言うのでしょう。いつも書いていますが、どうやって償わせるかを具体的に示さない限り、死刑廃止に賛成する人はなかなか増えないと思います。
一方で、杉浦正健法相が死刑執行命令書への署名を拒んだまま退任したというニュースも流れました。死刑執行が再開された1993年以降、5ヶ月以内に退任して判断を求められなかったとされる4人を除けば、「法相の判断」として執行しなかった例は初めてになります。法務当局が3人の死刑確定者をリストアップしたという説得の内容まで流れているのをみると、腹を立てた法務当局の誰かがリークしたんでしょうね。
現在の死刑確定囚は93名(最高裁判決が出た被告を含む)。他に最高裁の最終弁論が終わっている被告が1名、最終弁論の期日が決まっている被告が2名おります。もしこれらが年内に確定したとしたら、合計96名。来年早々には100名を突破すること、間違いなしです。
法務省の秘密主義は確かに問題です。ただ、死刑という刑を残しながら執行をしないというのは大いなる矛盾です。何らかの解決を望みます。……って、死刑存続論者が望む解決策って、執行しかないんですが。高齢死刑囚に対する減刑には賛成しますよ、私は。
他にも東京高裁から処置請求が出された松本智津夫死刑囚の弁護士からの反論が出ていましたね。日弁連がどういう決着を付けるのかが、興味あります。ところで、山口県光市の元少年被告の弁護士ドタキャン事件に対する日弁連の見解はどうなったんでしょう。


それにしても、最近の朝日の記事は、被害者遺族よりで加害者に厳しい論調のものが多いですね。昔は死刑反対の記事が多かった気がしますが……。