- 作者: 久住四季,甘塩コメコ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/06
- メディア: 文庫
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ゼミの割り振りが決まり、魔学部新入生全員が集まったその場に、ゲームと称した不可解な予告が流れる。「この会場内に集まった諸君の中から生贄を選定し、処刑することをここに宣言する」。声の主は魔術師アレイスター・クロウリーと名を明かした。しかしクロウリーは、二十世紀最高位の大魔術師と称され、オズの基礎を築いた故人である。しかし、クロウリーには孫がいた。それが“六人の魔術師の三番目”、クロウリー三世である。そのクロウリー三世は10年前から行方不明のままだ。そして事件は起こった。ゼミの仲間である三嘉村凛々子が、キャンパスの屋上で顔を切り刻まれていたのだ。階段に設置されていたカメラには、彼女の姿しか映っていなかった。しかも予告と異なり、凛々子は死んでいなかった。この密室殺人未遂の謎は。さらに続けて起きる事件。混乱と猜疑と恐怖に巻き込まれる佐杏ゼミの仲間たち。そして得られた結末。
第11回電撃小説大賞二次選考通過作品が編集部の目に留まり、出版された処女作。
電撃文庫を読むのは初めて。ラノベとして売り出されているようだが、中身はそれなりにミステリとして仕上がっている。魔術が使える世界ということだが、使える魔術は限られており、読者が謎を解くだけのルールはフェアに設定されている。検証していないけれど。とはいえ、こういう世界での謎は、設定されたルールを最大限に生かした魔術を利用することによって導かれるものであることはほぼ分かり切っているので、最後の解決編を読んでもそんなに感心するものではない。ただそれは、密室殺人未遂事件の謎のことであって、犯人の謎などは結構面白い。表に出てくる謎以外にも、これでもかとばかりに作者は読者を騙してくる。出てくる探偵役が魔術師‐トリックスター‐なら、作者もまた詐欺師‐トリックスター‐である。あからさまに描かれているものも多いが、それでも作者のたくらみを全て見破るのは結構大変だと思う。
ミステリの手法を用いた作品であり、ミステリファンが読んでもそれなりに楽しめる作品である。