平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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R・D・ウィングフィールド『夜のフロスト』(創元推理文庫)

夜のフロスト (創元推理文庫)

夜のフロスト (創元推理文庫)

流感警報発令中。続出する病気欠勤に、ここデントン署も壊滅状態。それを見透かしたように、町には中傷の手紙がばらまかれ、連続老女切り裂き犯が闇に踊る。記録破りの死体の山が築かれるなか、流感ウィルスにも見放された名物警部のフロストに、打つ手はあるのか? 日勤夜勤なんでもござれ、下品なジョークを心の糧に、フロスト警部はわが道をゆく。大好評シリーズ第三弾!(粗筋紹介より引用)

1992年刊行。2001年翻訳。文春ベスト1位、このミス2位など。



これも今頃読むか、私は。『クリスマスのフロスト』『フロスト日和』に続くおなじみフロストシリーズの3作目。過去作品と同様、モジュラー型であるのだが、今回は流感によって敵役とも言えるアレン警部が出てこないこともあり、フロストの活躍(迷走?)がいつもより激しい。それに付き合わされるのは、新任部長刑事フランク・ギルモア。結婚したばかりなのに、ワーカーホリックの警部に振り回されてひどい目に。しかも家では奥さんに振り回される羽目に。しかし、他の署はここまで忙しくないのかね。

輻輳する事件を勘とはったりと決めつけと偶然で少しずつ解決していく手法はいつもと変わらないし、下品なジョークも相変わらず。マレット所長が右往左往するだけで何の役にも立たないところも相変わらず。パターンはそれほど変わらないのに、毎回面白く読めてしまうのは、キャラクターが立っていることもあるが、やはり物語が綿密に構成されているからだろう。本作ではさらに結末直前で、フロストが犯人と対峙する奮闘ぶりも楽しめる。

毎回楽しみではあるのだが、どんどん厚くなってくるので、時間が思いっきり取れるときに一気に読まないと、この作品の面白さは半減してしまう。だからなかなか手に取ることができない。困ったものだ。