平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『Q.E.D.―証明終了―』第33巻(講談社 マガジンコミックス)

Q.E.D.証明終了(33) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(33) (講談社コミックス月刊マガジン)

強制退去の許可が出た部屋の中から出てきた死体。外傷もなく病死か自殺と思われたが、別れた妻が殺されたと訴え出る。友人、別れた妻、そして浮気相手の語る人物像はまるで違っている。死んだ男の正体とは。「パラドックスの部屋」。
ある推理小説家が、風呂場で倒れて頭を打ち、そのまま湯船で溺死した。事件性はなく事故死かと思われたが、その死亡方法は1週間前に被害者を含めた4人の推理小説家が居酒屋で飲んでいたとき、被害者が披露したトリックと全く同じであった。唯一違うのは、実際の現場があるマンションの部屋は戸締まりがされていて、カギは部家の中にあったこと。しかも3人には動機があった。「推理小説家殺人事件」。
謎解きに拘って33巻とはよく続くもの。素直に脱帽する。本格ミステリ作家クラブもなんか表象しろよといいたくなるところだ。
パラドックスの部家」は人間心理の謎を追ったもの。薄っぺらな人間像が怖いといえば怖いかもしれない。
推理小説家殺人事件」は本格ミステリ。見落としがちな手がかり、シンプルな密室トリック、犯人を指摘する論理性など、これぞ短編本格ミステリ、と叫びたくなってしまう一品。本格ミステリファンなら絶対読むべき、と言いたくなった。動機なども含めて、全てに納得がいった作品。作者にとっても会心の出来ではないだろうか。