平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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袴田事件で静岡地裁が再審開始を決定したことについて

正直に言えば、再審が開始されるかどうかは五分五分と思っていました。静岡地裁が、弁護側が行った従来とは異なるDNA鑑定の結果をここまで全面的に認めるとは思わなかったですね(逆を言うと、東京高裁で否定される可能性もあるということなんですが……)。DNA鑑定が理由で無罪が言い渡された足利事件や東電OL事件とは鑑定方法が異なりますし、単純に比べることはできません。それに5点の衣類の色に関する弁護側の実験結果も、採用するとは思いませんでした。それと、静岡地裁による証拠開示の勧告が大きかったでしょう。5点の衣類のカラー写真や、袴田元被告の否認調書、供述録音テープ、アリバイを認めた調書など、捜査側に不利とされる内容の物がありました
今回の再審請求に対する静岡地裁の対応は、時間こそかかりましたが、証拠開示の勧告など、真相を明らかにしたいという意思が強く見えたものでした。だからこそ、5点の衣類に対する証拠の捏造の可能性にまで言及し、異例ともいえる拘置の執行停止にまで踏み込んだのでしょう。
個人的には再審開始に最も近い位置にいる死刑囚だと思っていましたが、まさか釈放まで見られるとは思いませんでした。できれば無罪を勝ち取ってほしいと思います。静岡地検は、東京高裁が拘置の執行停止(釈放)を認めた静岡地裁決定を支持した(これは本当に良かった。最終用もあるかと思っていたし)ことを重く見て、再審開始に対する即時抗告をあきらめてほしいのですが、無理でしょうね。はっきり言って、地裁が「捏造」とまで言ってしまったのは、検察側を相当刺激してしまったと思います。ここまで言われると、検察側も意地になるでしょう。とことん歯向かってくると思います。もう1回DNA鑑定をやるとなっただけでも、半年以上かかりますよね。
それにしても、一部報道で『静岡県警幹部は「本当に証拠の捏造なんて可能なのか」と驚きを隠さず』とありましたが、少しは歴史を勉強してこいと言いたいですね。特に「あの」静岡県警の幹部が言っちゃいけません。