ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ七瀬
2024年、第23回『このミステリーがすごい!』大賞文庫グランプリを受賞。2025年2月、宝島社文庫より刊行。
帯を見るとみんな絶賛しているけれど、正直言って今一つ。時系列や視点がころころ変わるのだが、これが今一つ機能しておらず、さらに書き分けがあまりできていない。それ以上に問題なのは、人物描写がまったくできていないこと。主人公の七瀬悠はものすごいハンサムということなのだが、その造形が全く伝わってこない。紫陽についても同様。さらに敵役である牛尾がどれだけ怖いのか、さっぱりわからない。付け加えると、宗教団体の樹木の会もさっぱりわからない。ただ雰囲気だけで読者にわかってもらおうとするのは、今後は控えてほしい。
そして人骨の謎についてはあまりにもストレートすぎ。もう少し工夫はできなかったのだろうか。
ただ、読ませる力があることは事実。ツッコミどころ満載でも、最後まで読めたし。これで読者に見透かされないストーリーとわかりやすい描写力が付けば、もっと面白い作品を書くことができると思われる。
