「なあ常悟朗。お前に頼んでいいことなのかどうかわからないんだが……小佐内を紹介してくれないか?」 堂島健吾曰く、かつて絵の謎を解いた(ことになっている)小佐内さんに、もう一度知恵を借りたいのだという。──美術家の縞大我が、サンフランシスコ・ビエンナーレの黒熊賞を受賞した。健吾は地元のテレビ局に頼まれ学内を捜索、彼の在校時代の作品を発見するが、その作品は模写でありながら展覧会に出品された事実も掘り起こしてしまったのだ。果たしてこの作品は盗作か否か? 小市民を目指す小鳩君と小佐内さんの謎解きの日々。大人気シリーズ、待望の第二作品集。四編を収録。(粗筋紹介より引用)
2020~2022年、『ミステリーズ!』『紙魚の手帖』掲載作品に書き下ろし1本を加え、2026年4月、創元推理文庫より刊行。
アメリカの美術展で受賞した高校OBの美術家の高校時代の作品を探してほしいとテレビ局に頼まれた新聞部の堂島健吾は、美術家の高校時代の絵を発見。喜び勇んでテレビ局医連絡したはいいが、実は有名作品の模写であることに気付き、さらに展覧会に出品されたことまで見つけてしまった。困った堂島は小鳩常悟朗へ、小佐内ゆきに取り次いでほしいと依頼する。「
借りを返すため、小鳩は小佐内がリクエストした店でジェラートを御馳走することに。そこで二人が見かけたのは、二人より先にジェラートを頼んでいたのに、全く手を付けようとしないスーツの男。なぜ彼は絶品ジェラートを食べないのか。「
小佐内のクラスの調理実習で、小佐内と同じ班の女生徒が担当したスコーンは、レシピ通りに作ったのに出来上がったのは生焼けだった。小佐内はそばで見る限り、とくにおかしなところはなかった。アフタヌーンティーを出す店でスコーンを作るところを見ながら、小鳩と小佐内は推理する。「
高校OBの美術家が高校で講演会を行うこととなった。事前に送ってくれたオブジェを運ぼうと美術準備室へ向かった小鳩たちだったが、オブジェの一つである球体に大きなひびが入っていた。直前の地震で落ちた石膏像が当たったのか。しかし他には何も損害がない。脅迫状通りの人為的な行動か。しかし講演会当日、演台の隣のテーブルに置かれていたオブジェの球体はどこも壊れていなかった。「
〈小市民〉シリーズ2冊目となる短編集。時間としては高校1年冬から高校2年の夏休み前まで。『巴里マカロンの謎』から『夏期限定トロピカルパフェ事件』の間の出来事となる。
小鳩と小佐内の関係がまだ微妙な頃なので、二人の会話が探り合いになっているところは懐かしさを感じる。謎自体は他愛無いものが多く、どうでもいいやと思えるものもあるのだが、なんだかんだ首を突っ込んでしまって推理を繰り広げるあたりが、小市民に成りきれないこの二人なのだろう。シリーズファンにとっては原点帰りと言っていいかもしれない。
逆にシリーズを読んだことがない人からすると、この二人の関係が理解し難いのは仕方がないか。人間関係を知らずとも、推理を繰り広げる部分で楽しんでもらえばよい。何だかんだ正解までを探し当てながらも、最後まで詰め切れない若さというのもまた面白い。
シリーズファンへ向けてのボーナストラックな一冊。個人的には「
