ある日突然、「女子大生殺人犯」とされた男。既に実名・写真付きでネットに素性が曝され、大炎上しているらしい。まったくの事実無根だが、誰一人として信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも。ほんの数時間にして日本中の人間が敵になってしまった。必死の逃亡を続けながら、男は事件の真相を探る。(粗筋紹介より引用)
2022年5月 書き下ろし刊行。
大帝ハウス大善支社営業部長の山縣泰介が、本人の知らないTwitterアカウントに女子大生殺害の状況写真が載せられ、過去の投稿から本人の名前や住所、勤務先まで瞬く間に特定される。ところが当の泰介はそんなアカウントのことは知らない。辛くも逃げ出した泰介は、味方が誰もいない状況で、逆に犯人を探し求める。
泰介、娘の夏実、Twitterを拡散した大学生の住吉
同じ中年である私としては、真面目に働いてきて出世したと思っていた泰介が実は周囲から……という展開は少々リアルすぎて辛い(苦笑)。
ネット民が祭りになったり、自称正義の味方を気取るバカが泰介を探し回る下りなどはやや類型的に感じたが、スピーディーで意外な展開がそんな小さな不満を振り払ってくれる。このストーリーでこの伏線を貼るのか、という仕掛けはうまかったし、一気呵成な結末までの流れは面白かったが、犯人の動機には少々弱いさを感じた。それと最後は、もう少しベタなシーンがあっても良かったとは思う。
少なくとも、前作がフロックではなかったことは十分にわかった。
