平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ポール・アルテ『カーテンの陰の死』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 殺人現場に偶然居合わせたマージョリーは、犯人と同じ服装をした謎の人物が自分の下宿に入ってくるのを目撃する。続けて密室殺人事件が発生するにおよび、ハースト警部らが乗り出すが、事件の状況は七十五年前にこの下宿屋で起きた迷宮入り事件とそっくり同じだった。(粗筋紹介より引用)
 1989年、フランスで発表。2005年7月、邦訳刊行。

 ツイスト博士シリーズ三作目。久しぶりに手を出してみた。
 頭皮を剥ぐ連続殺人犯って手間暇かかるだろうにいいのだろうか、などと余計な心配しながら読み進めると、次に出てくるのは怪しい下宿屋。ここに住んでいる人も怪しそうな人ばかり。さらに75年前と同じカーテン越しの密室殺人。これでもかとばかりにカーの世界を再現しつつ、下宿屋のところはクリスティっぽい。おまけに結末はポー風。作者からの感謝の言葉の中に、カーとクリスティとステーマンが出てきているけれど、ステーマンの要素ってどこに出てくるのだろう。
 不可能要素はかなり強いのだが、ツイスト博士の推理を聞いてがっくり。後出しジャンケンはあるし、推理の飛躍はあるし、そのくせ単純だし。これで終わりかよと思ったら、最後にちょっとだけひねっていて、少し救われたかな。
 カーから悪趣味なドタバタを除いたら、こんなに短くなるんだな、と思わせる作品ではあった。ただそのドタバタを省くと、粗ばかりが浮かび上がるというのもよくわかったが。