高校時代の初恋の相手・小夜子のルームメイトが、突然自宅に訪ねてきた。音信不通になった小夜子を一緒に探して欲しいと言われ、倉坂尚人は彼女の故郷、北海道・
2020年、第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞受賞。応募時タイトル「くじりなきめ」。改題、加筆修正の上、2020年12月、刊行。
札幌市に住む倉坂尚人は、高校時代の恋人である葦原小夜子のルームメイトである有川弥生から小夜子が3週間帰らず連絡も取れないので、心配だから一緒に来てほしいと頼まれた。尚人は小夜子のことが忘れられず、そして弥生から小夜子はまだ尚人のことが好きだと聞かされた。二人は巌美沢市のさらに奥にあり、両親を事故で亡くした小夜子の祖父と叔母一家が住む稲守村へ向かう。
小夜子は二十三年ぶりに行われる稲守祭で、従妹の久美の代わりに巫女を務めることとなり、川で禊を行っていた。思い浮かべるのは、高校時代に一年半付き合った尚人のことであった。
尚人視点の章と小夜子視点の章が交互に語られる展開。知らない田舎に行って奇怪な儀式に巻き込まれ、謎の化物が出てくる。何十年前のホラーだよ、って突っ込みたくなるぐらいの古臭い設定。わざわざ秘祭を見に来るホラー作家・那々木悠志郎とオカルト雑誌の編集・佐沼佳祐なんて、いかにも巻き込まれますよというキャラクターが登場してくるものだから、げんなりしてくる。しかしそのやぼったい那々木悠志郎がオカルト探偵みたいな役割を果たすのだから、なんだかへんてこな話だ。
舞台も人物造形も古臭いし、さらに描写も今一つ。異形の物が出てきても、恐怖感が伝わらない。つまらないと思っていたら、途中で仕掛けに気づいてちょっと驚き。ホラーにミステリの仕掛けを持ってくるのか、という意味では感心した。この仕掛けがなかったら、とても読めたもんじゃない。
ただ、最後はやり過ぎ。さすがにこれは無理。日本の警察は、そこまで馬鹿じゃない。
まあ、何とも形容しがたい作品ではあった。「ミステリ&ホラー大賞」というタイトルを忠実に守っているわな、これは(苦笑)。それにしても、この佐々木がシリーズものになって5冊も出たのだからびっくりだ。主人公として、全く魅力がないのだが。
