平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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横山光輝『時代物傑作選2』(光プロダクション 横山光輝生誕90周年記念電子出版「Selected Works」)

 江戸幕府は豊臣家恩顧の外様大名福島正則を廃絶しようと目論んでいたが、自幻斉率いる甲賀衆が鉄壁の守りを固めているために、落ち度を探すことができない。幕府は伊賀者に自幻斉を殺せと命じる。「忍鬼」。
 伊賀、葉隠れの里に失敗のしたことがない偉大な忍者「横笛」がいるという。しかし誰も、その姿を見たことがない。斉藤勘九郎は、美濃で力を持つ豪族、稲葉越中守の暗殺を棟梁に依頼する。棟梁は立派な笛を渡し、これを越中守に渡してほしいという。ある日、越中守の屋敷に身のこなしは素早い白痴の男が現れる。「笛」。
 天文年間、蝦蟇とあだ名される腕利きの男がいた。蝦蟇は殿の愛妾・お菊の方と、その兄で最近何かと政治に口を出す土地見回り役・大高左衛門の暗殺を依頼される。「蝦蟇」。
 立てば背の立つ川で領主が水死。その夜、奥方のところに現れた実力者の柿崎十兵衛は、奥方を自分の者とする。実は奥方を手に入れるため、十兵衛は蝦蟇に領主の始末を依頼していた。「浅い川」。
 食当たりで苦しんでいた蝦蟇を助けたのは、通りがかりの醜男、山本勘助だった。「死者踊り」。
 道場破りでわずかなわらじ銭をせしめる貧乏浪人の男に、加代という女が五百石取りの夫の仇討ちを息子・京之助とともに果たすべく、助っ人を依頼する。「仇討ち始末」。
 本能寺の変後、柴田勝家羽柴秀吉のにらみ合いは激しくなっていった。秀吉は勝家と戦う場所を賤ヶ岳と考え、伊賀者十名を地形調べに送るも誰も帰ってこなかった。誰もその姿を見たことがない勝家が抱えている忍者・風夜叉の仕業ではないかと考えた忍者・白虎は、秀吉の命を受け賤ヶ岳に向かう。「風夜叉」。

 「忍鬼」は読んでいるのだが、全然覚えていなかった。福島正則の忍者という設定は、私にとっては目新しかった。「笛」は傑作。作者の短編の中でもベスト10に入る。「蝦蟇」「浅い川」「死者踊り」はシリーズ物。侮男の暗殺者という設定、作者は好きだね。「死者踊り」は山本勘助が出てくる。作者は山本勘助も好きだったのか、結構色々な作品で出てくる。「風夜叉」は初読。こういうパターンもありか。
 こうやって読むと、後の作品にみられる設定が目立つ。とりあえず短編で書いてみて、それから長編に膨らませていったのかな。