平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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東野圭吾『マスカレード・ナイト』(集英社文庫)

 練馬のマンションの一室で若い女性の他殺体が発見された。ホテル・コルテシア東京のカウントダウン・パーティに犯人が現れるという密告状が警視庁に届く。新田浩介は潜入捜査のため、再びフロントに立つ。コンシェルジュに抜擢された山岸尚美はお客様への対応に追われていた。華麗なる仮面舞踏会が迫るなか、顔も分からない犯人を捕まえることができるのか!? ホテル最大の危機に名コンビが挑む。(粗筋紹介より引用)
 2017年9月、集英社より単行本刊行。2020年9月、文庫化。

 「マスカレード」シリーズ第3作。今回の舞台はカウントダウンの仮面舞踏会。
 やはり読んでいてうまいな、と思うのは、ホテルならではのエピソード、新田たちの捜査の状況、真相に少しずつ迫っていく過程、そして尚美自身のエピソードが過不足なく絡み合っているところ。特になかなか接することのない高級ホテルならではのエピソードは、読者を非現実的世界へ引きずり込むのに最適。
 犯人に振り回されながらも、新田たちが少しずつ追いつめていく展開はサスペンス満載。エンタメに振り切り、読者を楽しませることに徹すると作者は強い。読み終わってみると、さして目新しいことをしているわけじゃないと気付くんだけどね。
 シリーズキャラクターの活躍を万遍なく用意し、楽しめるストーリーを書き、次作への引きらしきものを準備する。人気作家の腕というものをいかんなく発揮した作品である。