イギリス南西部の町ノース・デヴォンの海岸で死体が発見された。捜査を行うマシュー・ヴェンは、被害者は近頃町へやってきたサイモンというアルコール依存症の男で、マシューの夫が運営する複合施設でボランティアをしていたことを知る。交通事故により子供を死なせたことで心に病を抱えながらも、立ち直ろうとしていた彼を殺したのは何者なのか? 英国ミステリの巨匠が贈る端正で緻密な謎解きミステリ。(粗筋紹介より引用)
2019年9月、刊行。2020年、アガサ賞最優秀長篇賞受賞。2023年3月、邦訳刊行。
ジミー・ぺレス警部シリーズで有名な英国ミステリ界の巨匠、アン・クリーヴスの新シリーズ。クリーヴスを読むのは初めて。
情景や描写が非常に細かく書き込まれており、物語がなかなか進まない。じっくり読み込むにはいいのかもしれないが、個人的には退屈感の方が強かったな。なんというか、無駄に書き込まれた純文学を読んでいる気分である。その原因の一つは、主人公であrうマシュー警部自身にあるだろう。マシューの過去、特に自らがゲイであることを家族に受け入れられてない傷を負っているせいもあってか、とにかく悩む、悩む、悩む。夫(って作中に出てくるけれど、パートナーだよな、書き方としては)であるジョナサンとの出会いと暮らしで救われているのだが、事件と自身の過去を投影するかのような思考の巡りが、正直言って鬱陶しい。多分、こういう人に共感してのめり込む読者も多いのだろうなあ、とは思うのだが。
地味ではあるものの、巨匠らしいじっくりと掘り下げていく書き込みを楽しめる人には面白いと思う。私の場合は、自分には全く合わなかった、の一言で終わってしまうが。次作に手を出すかどうか、迷うところである。
