殺人罪で服役した黒人のアイク。出所後庭師として地道に働き、小さな会社を経営する彼は、ある日警察から息子が殺害されたと告げられる。白人の夫とともに顔を撃ち抜かれたのだ。一向に捜査が進まぬなか、息子たちの墓が差別主義者によって破壊され、アイクは息子の夫の父親で酒浸りのバディ・リーと犯人捜しに乗り出す。息子を拒絶してきた父親2人が真相に近づくにつれ、血と暴力が増してゆき――。(粗筋紹介より引用)
2021年、アメリカで発表。2022年、アンソニー賞長編部門、マカヴィティ賞、バリー賞最優秀小説部門受賞。2023年2月、邦訳刊行。
バージニア州、リッチモンドのダウンタウンで、同性婚のカップルである黒人のアイザイア・ランドルフと白人のデレク・ジェンキンスが銃撃で殺された。ジャーナリストであるアイザイアには、以前から脅迫状が届いていた。同性婚をしてから絶縁状態であったアイザイアの父親、アイザック(アイク)ランドルフは、デレクの父親バディ・リー・ジェンキンスとともに犯人捜しに乗り出す。
ストーリーは単純明快な復讐劇。今も残る差別の連鎖が、物語を複雑化している。アメリカ南部における黒人と白人の同性婚。さらに事件を追う方も、黒人と白人のコンビである。しかも片方は元殺人犯、片方は離婚歴のあるアル中である。互いの感情が反発しながらも、法律よりも己の哀しみと悔いを胸に同じ目的に向かい突き進む姿は、親とはなにかを語り掛けてくるものである。暴力や残酷な描写も多いが、それでも目を話すことができないのは、親の想いが前面に出てくるからだろう。
評判がよかったので今さらながら手に取ってみたが、素直に面白いと思えた。その評価に嘘はなかった。
