平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

板野博行『眠れないほどおもしろいやばい文豪:こうして生まれたあの名作』(三笠書房 王様文庫)

 いくら天才作家だからって、ここまでやって、いいものか――。ある者は女に走り、薬に逃げ、ある者は泥酔して殴り合い、借金を踏み倒す。挙句の果てに自殺や心中など、わがまま放題……。天才作家たちの破れかぶれな生き方、作品の魅力、時代背景がわかる本!(折り返しより引用)
 2020年7月、王様文庫より刊行。

 

1章 「天才」って、ホントつらいんですよ
 太宰治三島由紀夫川端康成芥川龍之介中原中也森鴎外萩原朔太郎梶井基次郎
2章 「愛欲生活」すなわち「文章修行」
 谷崎潤一郎永井荷風与謝野晶子北原白秋田山花袋島崎藤村檀一雄岡本かの子
3章 「金の苦労」が、あの名作を生んだ!
 石川啄木直木三十五夏目漱石室生犀星織田作之助樋口一葉種田山頭火
4章 「ピュアすぎる」のも考えもの
 有島武郎泉鏡花高村光太郎宮沢賢治武者小路実篤中島敦坂口安吾
5章 「変人たちのボス」はやっぱり変人
 尾崎紅葉菊池寛志賀直哉佐藤春夫正岡子規寺山修司

 

 明治以降の文豪の「ヤバさ」を集めたような一冊。まあ、変人だからあんな小説や詩や歌を書けたのだろう、というところだろうか。ゴシップまとめみたいにはなっているのだけれども、文豪の人となり、そして作品の背景を知るにはわかりやすい。生真面目すぎる評論よりはずっと面白い。今だったらこんな人たち、社会から受け入れられないのだろうなと思ってしまうと、ちょっと悲しくなるところもあるが。
 こういう本から、その作者が書いた小説や詩や歌に触れてみたくなる、という点ではできた一冊だと思う。シリーズの他の本も読んでみたくなった。