平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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おぼん・こぼん『東京漫才』(飛鳥新社)

 奇跡の“仲直り”を果たした超絶“不仲”コンビの自伝的お笑い回顧録! 人気芸人たちが絶賛&感涙&安堵した「芸に生きる男たち」の人間ドラマは、まだ完結していなかった!!!(帯より引用)
 2022年3月、刊行。

 

 『水曜日のダウンタウン』における仲直りが話題となったベテラン漫才コンビの、初の回顧録。なんといっても、1980年のMANZAIブームを牽引した漫才コンビの一組。あの頃からずっと継続して活動しているのは、おぼん・こぼんオール阪神・巨人ぐらい(ざ・ぼんちやのりお・よしおは一度、解散している)。<br>
 出会い、結成、アマ活動、上京、キャバレー回り、コルドンブルー出演、お笑いスタ誕グランプリ、MANZAIブーム、そして不仲の真相、57年目の回想。なんとなくは取材などで語られてきた内容もいくらかはあるものの、ここまで突っ込んだ内容をまとめて読むのは初めて。とはいえ、水ダウで再ブレイクしなければ、帯付きで出されるような本にはならなかったんじゃないかな、とは思う。
 こぼんが横山ノックに弟子入り志願したところなどは初めて知った。これだったら、横山やすしとの付き合いに関してはおぼんに言いたくなるわな。
 二人に共通しているのは、徹底したプロ意識と、漫才をして客席を笑わせたい、ということだと改めて分かる内容だった。そして、それぞれこの相手でないと、今以上の笑いを提供することができないという思い。あれだけ口を利かなくても漫才コンビを続けていたのは、もちろんお金もあるだろうけれど、漫才に対するプライドなんだと改めて思い知らされる。80歳になっても、90歳になっても舞台に立って、漫才をして、楽器を吹いて、タップを踏んで歌ってほしい。希望を言えば、あと1本だけ新作を見てみたい。