《景観荘(オーバールック)》ホテルはコロラド山中にあり、世界で最も美しいたたずまいをもつリゾート・ホテルのひとつだが、冬季には零下25度の酷寒と積雪に閉ざされ、外界から完全に隔離される。そのホテルに一冬の管理人として住みこんだ、作家とその妻と5歳の少年。が、そこには、ひそかに爪をとぐ何かがいて、そのときを待ち受けるのだ!(上巻粗筋より引用)
すずめばちは何を予告する使者だったのか? 鏡の中に青火で燃えるREDRUMの文字の意味は?……小止みなく襲いかかる怪異の中で狂気の淵へ向かう父親と、もうひとつの世界へ行き来する少年、恐怖と憎しみが恐るべき惨劇へとのぼりつめ、そのあとに訪れる浄化――恐怖小説の第一人者による《幽霊屋敷》テーマの金字塔傑作。(下巻粗筋紹介より引用)
キングの第三長編。1977年、アメリカで発表。1978年3月、パシフィカより上下巻で邦訳単行本刊行。絶版になり、加筆修正のうえ、1986年11月、文春文庫化。
モダン・ホラーの第一人者であるキングの代表作の一つ。1980年、スタンリー・キューブリックが映画化して大ヒットしている(映画は全く見ていない。小説と映画で中身はだいぶ違うらしいが)。
主人公のジャック・トランスは元アル中で、教師を辞めたのも生徒に暴力を振るったからである。妻のウェンディは時々、ジャックが息子のダニエルに暴力を振るったことを持ち出す。そしてダニエル(ダニー)は未来を見る力や心を読みとったり送ったりできる「かがやき」と呼ばれる超能力を持っていが、両親には内緒にしている。
いわゆる幽霊屋敷ものであるが、ジャックの過去やダニーの力がプラスアルファされ、単純な幽霊屋敷ものとは違った形となっている。上巻の徐々にジャックが侵されていく描写は非常にうまいと思うし、下巻における屋敷の恐怖やジャックの狂気、さらにウェンディやダニーの必死の抵抗などのサスペンスな展開もよかったと思う。
ただね、根本的に苦手なんだよな、ホラーって。もうこればかりは生理的なものらしく、物語の成り行きには確かに興味があるのだけれども、それでも面白いとは思えない。途中で何度嫌になったことか。一気読みしたけれどさ、気になったから。
ということで、これ以上の感想は無し。キングは読んでいない作品が多いので、もう少し頑張ってみようかとは思うけれど。体調の良い時に。