平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ポール・アルテ『死が招く』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

死が招く―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

死が招く―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 

 内側から錠がかかった密室状態の書斎で、ミステリ作家が煮えたぎる鍋に顔と両手を突っ込み銃を握りしめて死んでいた。傍らの料理は湯気が立っているのに、何故か遺体は死後二十四時間以上が経過していた! しかも、この現場の状況は、作家が構想中の小説『死が招く』の設定とそっくり同じだった……。エキセントリックな作家、追い詰められた夫人、奇術師、薄気味悪い娘、双子の兄弟、屍衣を纏った謎の老人――曰くありげな人物たちが織り成す奇怪な殺人ドラマ。犯罪学者アラン・ツイスト博士が快刀乱麻を断つ本格探偵小説! シリーズ第二作。(粗筋紹介より引用)
 1988年、発表。2003年6月、邦訳刊行。

 

 フランスのディクスン・カーことポール・アルテのツイスト博士シリーズ第二作。新刊で買いながら、今まで放っておいた一冊。なんで手にとらなかっのか、記憶がない。
 ミステリ作家が構想中の作品通りに密室で殺害されるという、本格ミステリファンならドキドキする展開。確かに冒頭はドキドキしたのだが、正直言ってごちゃごちゃしていて、細かい部分が頭に入ってこない。これだけの設定ならもっとページを費やしてもいいだろうに、あまりにも薄すぎて仕掛けが見えやすい。特に犯人の行動、怪しすぎ。これだけやって怪しまれない方がおかしい。謎解きも仕掛けのわりに今一つで、本当に実行可能なのと聞きたくなる部分もある。
 それでも読んでいて楽しめたので、雰囲気作りとプロットは非常に巧いなあと感心した次第。