- 作者: 西村京太郎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1985/05
- メディア: 文庫
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1975年4月、カッパ・ノベルスより刊行。1985年5月、光文社文庫化。
トラベルミステリーの第一人者、西村京太郎も、当時は海洋ミステリーを多く書いていた。そして十津川警部は、海洋ミステリーを中心とした謎に立ち向かう第一人者だった。西村京太郎はこの後、『消えた○○○』というタイトルの作品を数冊執筆する。
インド洋上で50万トン・タンカーが炎上、沈没するという派手な話の後、生き残った船長以下が立て続けに殺されるというショッキングな話。十津川警部が事件の謎を追ううちに、いつしかタンカー消失の謎を追うこととなる。
西村京太郎らしい派手で大掛かりなトリックを駆使した作品。凄いとは思うのだが、本当にこんな動機が成立するのか、ライフルで連続殺人が可能なのかなど、首をひねるところも満載。それをも強引に押し通す力が、当時の作者にはあったのだろうなと思ってしまう。
そういえば西村のこのあたりを読んでいないな、と思って手に取ってみたが、確かに作者の力を感じる作品ではあった。ただ同時に、大掛かりすぎる荒唐無稽さが一般受けしそうもない作品だよなという気もした。