平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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秋月涼介『月長石の魔犬』(講談社ノベルス)

月長石の魔犬 (講談社ノベルス)

月長石の魔犬 (講談社ノベルス)

右眼に藍玉のような淡い水色、左眼に紫水晶のような濃い紫色の瞳をもつ石細工屋店主・風桜(かざくら)青紫(せいし)と、彼を慕う女子大生・鴇冬(ときとう)静流(しずる)。先生に殺されたいと願う17歳の霧嶋悠璃。境界線を彷徨う人々と、頭部を切断され犬の首を縫い付けられた屍体。異常と正常。欲望と退屈。絶望と救い。根源を射つメフィスト賞受賞作。(粗筋紹介より引用)

2001年、第20回メフィスト賞受賞。2001年6月、講談社ノベルスより刊行。



頭部を切断し、犬の首を縫い付ける。誰が考えてもサイコホラーものだが、読んでいても怖さは全くなく、言葉足らずな表現が鬱陶しいだけ。何の意味もない読みにくい名前の登場人物たちが鬱陶しいし、短い章ごとに視点が切り替わるのも非常に読みづらい。物語にほとんどからまない登場人物なんて、出す意味がないだろうと言いたい。警察の捜査もいい加減というか、出鱈目。素人の犯行なのだから、もっと早く犯人に辿り着いてもよさそうなもの。犯人の設定も無理があるし、伏線も何もないから結末を聞かされて唖然とするだけ。頭部を切断し、犬の首を縫い付けた動機があまりにも安易というか、簡単に流しすぎ。一番大事なところだろう、そこ。最後の謎解き、推理も何もなくどうしてそこまで組み立てられるか、不思議で仕方がない。

読んでいて、悪口ばかり思い浮かんでくる。駄作。

メフィスト賞の未読は残り18冊。まだまだ先は長い。