- 作者: 雪富千晶紀
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/09/22
- メディア: 文庫
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2014年、第21回日本ホラー小説大賞受賞。応募時タイトル『死咒の島』。同年10月、『死呪の島』のタイトルでKADOKAWAより単行本刊行。2016年9月、改題、加筆修正の上、ホラー文庫より刊行。
伊豆諸島東端にある須栄島の元領主で現町長である白波家の次男・杜弥と、島で村八分にされている孤児の打保椰々子が主人公。過去に行方不明となった外国客船が漂着してから、次々に島に異変が起こる展開。最初に出てくる「顔取り」は結構恐ろしい。これはよく書けていると思った。ところが、その後がいけない。お約束な展開がてんこ盛りとなって続くのだ。「犯人」とか「呪いの正体」とか、いかにも借りてきました感が強い。
これだけの題材をこの内容でよく収めたとは思うが、逆に言うと書き急ぎすぎて、読者を怖がらせる前に次の展開に進むのは残念。さらに主人公の少年、少女とのやり取りが不足している。この程度のやり取りで気にかかるようになる?と言いたくなるぐらい、時間と描写が足りない。
題材は悪くないし、見た目もきれいだが、レトルト食品のようで、さらに食べられるものの味付けが今ひとつ。そんな印象を受ける作品。青春ホラーにするのなら、もう少し舞台をシンプルにしても、十分成り立っただろう。いっそのこと、顔取りだけでよかったんじゃないだろうか。その分、もう少し人間関係にスポットを当てた方が、より面白くなったと思える。