- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/07/13
- メディア: 文庫
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1996〜1997年、『メフィスト』掲載。1997年7月、講談社より単行本刊行。2001年7月、文庫化。
「第一章 待っている人々」「第二章 出雲夜想曲」「第三章 虹と雲と鳥と」「第四章 回転木馬」の四章で構成。
第一章は、会社の会長宅に招かれた若い社員が、幻の本『三月は深き紅の淵を』を探そうとする話。これは面白かった。読書好きならではの仕掛けが実にいい。これで長編一本が成り立つと思っていたんだけどねえ。
第二章は、女性編集者二人が夜行列車の中、酒を飲みながら『三月は深き紅の淵を』の話を始め、その作者へ会いに出雲へ向かう話。いきなりストーリーが変わるし、『三月は深き紅の淵を』の設定もどっと変わるし、とここでかなり戸惑う。
第三章は、女子高生2人が転落した謎を追う、2人の知人たちの話。正直言って、このあたりから退屈になってくる。『三月は深き紅の淵を』は今から書かれることになっている。
第四章は、辺境の地にある学校に、二月になって転校してきた女子高生を巡る話。本章では『三月は深き紅の淵を』をこれから書く話だが、作中作のように別の物語の断片が途中で織り込まれている。
幻の本と言われている『三月は深き紅の淵を』は、「第一部 黒と茶の幻想」「第二部 冬の湖」「第三部 アイネ・クライネ・ナハトムジーク」「第四部 鳩笛」の四章からなる小説。これが作品と対になっているのであればいいのだろうが、今ひとつピンと来なかった。
そもそも恩田陸の作品はあまり読んでいないが、はっきり言って読む気が起きない作家の一人。珍しく手に取ってみたが、第一章の面白い設定をどんどんぶち壊しているとしか思えなかった。
作者には申し訳ないが、作者がどのような意図で、なぜこのような面白くない設定で小説を仕上げたのか、さっぱりわからなかった。はっきり言って、それだけ。世間からは評価されているから、単に私が読み手として未熟なのだろう。