- 作者: 国広正人
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/10/25
- メディア: 文庫
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2011年、「穴らしきものに入る」で第18回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。書き下ろし4編を加え、2011年10月、刊行。
粗筋紹介通りの作品「穴らしきものに入る」。
父親・金造の葬式に参加した息子の七鉄。火葬場で焼かれた金造の骨は、全て金だった。集まった親戚たちの醜い争いが始まる。「金骨」。
日光と日焼けが嫌いで、肌は全て隠し、徹底して日陰を歩いて日常を過ごすヤクルトンレディ。「よだれが出そうなほどいい日陰」。
朝、起きてみると顔にプロレスラーのようなマスクが張り付いていた。1枚外しても、また別のマスクが張り付いている。仕方なくそのまま出社したが。「エムエーエスケー」。
若い夫婦が通りがかりに見たジュースの自動販売機には、当たりが出れば赤ちゃんが出てくると書いてあった。まさかと思っていたら、ジュースを何本も買っているおばあさんは、昔赤ちゃんを当てたことがあるという。「赤子が一本」。
「穴らしきものに入る」は馬鹿馬鹿しいけれど、発想は面白い。ナンセンスSFの作品で、なぜホラー小説大賞に送ったのかはわからない。ただ、選評でも指摘されているとおり、オチが弱すぎる。
「金骨」も発想は面白いし、その後のやり取りも笑える。ただ、オチが弱すぎる。
「よだれが出そうなほどいい日陰」は発想がいいけれど、物語の展開は大して面白くもない。
「エムエーエスケー」は頭の中で思い浮かべてみると結構シュールだが、これも話の展開がだんだんつまらなくなっていくので残念。
「赤子が一本」はアイディアだけ。その後の夫婦のやり取りは一体何だと言いたくなるぐらいつまらない。
発端は面白いのだが、その後の展開は当たり外れの差が大きい。さらにオチはどれも今一つ。結局、アイディア一発だけである。それ以上、言い様がない。小説も着地が悪いと、すべてが台無しになってしまう。もっと精進しないとだめだろう。