平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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三上延『ビブリア古書堂の事件手帖7 栞子さんと果てない舞台』(メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂に迫る影。太宰治自家用の『晩年』をめぐり、取り引きに訪れた老獪な道具商の男。彼はある一冊の古書を残していく―。奇妙な縁に導かれ、対峙することになった劇作家ウィリアム・シェイクスピアの古書と謎多き仕掛け。青年店員と美しき女店主は、彼女の祖父によって張り巡らされていた巧妙な罠へと嵌っていくのだった……。人から人へと受け継がれる古書と、脈々と続く家族の縁。その物語に幕引きのときがおとずれる。(粗筋紹介より引用)

2017年2月、書き下ろし刊行。



大ヒットシリーズ、約2年ぶりの新刊、かつ完結巻。といっても、私が読んだのは1年前なので、それほど待たされたという気もしなかったが。

五浦大輔と篠川栞子の恋の結末、そして母・智恵子の失踪の理由といった、物語の根幹をなす部分についてはきちんと結末がついている。まだ残っている謎とかもあったような気もするが、スピンオフも書かれるそうだし、もういいや、という感じではある。

今回出てくるのはシェイクスピアのファースト・フォリオ。なるほど、最後だから超大物を持ってきた。なんと言っても億単位の古本である。シェイクスピアの蘊蓄も色々。ちょっと多すぎる気もしたが、『ヴェニスの商人』が喜劇だとは知らず、勉強になった。

いろいろ文句も言ったシリーズだったが、最後は見事に大団円。ハッピーエンドに終わってよかった、よかった、といった一冊だった。