昭和プロレス 迷宮入り事件の真相 YouTube時代に出た最終結論
- 作者: 井上譲二
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2016/11/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (4件) を見る
プロレスラーへの取材経験や知識が豊富な峰尾宗明の執筆協力を得て、現在確定できた最終的なデータを存分に盛り込んだ、とある。
確かにプロレスファンの間で語られてきた試合と現象をピックアップしている。全日本プロレスより新日本プロレスの方が圧倒的に多いのは、場外も含めたスキャンダラスな試合を多く提供してきたからだろう。
ただ内容の方だが、今までマスコミなどから漏れてきた内容や、プロレスファンの間で語られてきたことや、プロレスラーの自伝等に書かれていることをまとめているだけに過ぎない。タイトルにあるような「迷宮入り事件の真相」とか、「YouTube時代に出た最終結論」にはほど遠い内容になっている。「真相」とは“YouTube時代”などと言っている割に、YouTubeが活用されているのは、せいぜいアンドレがボディスラムで投げられた相手の検証程度に過ぎない(しかも、猪木がアンドレをボディスラムで投げた日付を間違っているし)。
とはいえ、知らなかった話(ブロディがデビット・フォン・エリック死亡時、部屋内の薬物を水洗トイレに流して証拠隠滅したこと、ブロディがアンドレをボディスラムで投げたというのは、井上譲二がでっち上げた話だったことetc)もあったことは事実。結局、単なるまとめ本ではあるが、当時プロレスファンで今はプロレスから離れてきた人が読むには、それなりに楽しめるかもしれない。コアなファン向けでないことは、間違いない。
それにもっとあげられるべき試合もあるはず。IWGP第2回決勝での長州の乱入とか、藤原の長州襲撃とか。猪木絡みでももっといっぱいあるよな。
まあ、今のプロレスはすごいけれど、「迷宮入り」とまで言われそうな事件は、なかなか起きないな。私は別に起きなくてもいいけれど、猪木ファンあたりからしたら、物足りないのかも。そのあたりが、「今のプロレスには何かが足りない その答えは本書にある」という煽りなんだろうけれど。とはいえ、金を払って身に来た客からすると、不透明決着なんて勘弁してほしいというのが本音だろうに。