- 作者: ジェレミードロンフィールド,Jeremy Dronfield,越前敏弥
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2002/03
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
1998年、イギリスで発表。2002年3月、翻訳。
『このミステリーがすごい! 2003年版』海外編第1位、『週刊文春』2002年傑作ミステリーベスト10/海外部門第3位と評価された作品。ずっと気にはなっていたのだが、わずか3名という登場人物にやや恐れを抱いて、積ん読状態だった1冊。訳者あとがき、解説の冒頭で書かれている言葉を、私も書きたい。「なんだ、これは」。
メインであるキャロルと、記憶喪失のゴールドクリフがメインのストーリーと並行し、登場人物欄には一切出てこない人物たちのサイドストーリーが時も場所もバラバラで挟まれている。これがメインとどう結びつくかと思ったら、いつしか「汚水溝の渉猟者」に追われる男の逃亡物語であることがわかり、そして過去の連続猟奇殺人事件がつながってくる。正直言って読んでいてもわかりにくい構成なのだが、ストレートに時系列を並べると簡単にわかってしまうので仕方がない。とはいえ、エロ成分が多いこともあり、苛立ったことも確かだが。
ようやく物語の全貌が見え始めるとストーリーは一気に進むのだが、この展開が何ともサイコ。この狂気が苦手だなと思いながら読んでいくと、最後はなんとリドル・ストーリー。なんだ、これは。
一応サイコ・スリラーなんだろうが、何がやりたいのかさっぱりわからない。私には理解不能な長編だったが、こういう作品が好きな人にはたまらないだろう、というだけの妙な迫力がある。主人公のキャロルの職業が、バッタの農場というのも不気味。ただ、バッタはもっと物語と絡むと思ったんだけどね……。個人的にはあまりお薦めしない。わけがわからなくなること、間違いなしだから。