- 作者: 澤地和夫
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 単行本
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澤地和夫が結構頭のよい人物だったのだと思う。しかし自信過剰なところが裏目に出て、多額の借金を抱える羽目になり、しかも警察時代の仲間から金を借りまくっていたことから犯罪に手を染めてしまう。
死刑判決の上告中、後藤田法相が3年ぶりに死刑執行を再開したことに抗議し、自ら上告を取り下げて死刑が確定。もっとも、上告を取り下げた方が執行までの期間が長くなるという狙いがあったことを後に告白している。最もそのようなデータは無いので、見栄っ張りな性格が表に出た結果だけのような気もするが。
死刑囚との接点などは興味深かったが、ほとんどの文章で己が正しいという感覚で書いていることから、読んでいて不快になる部分も多い。朝倉幸治郎元死刑囚のことをゴマすり、佐川和夫元死刑囚のことを小心者と揶揄する点については、もはや呆れるとしか言いようがない。自らの犯した罪について未だに他人事である点については、怒りすら覚える。借金を抱えた原因は自分にあるという肝心なところについては全く触れようともせず。
結局澤地は、自らに自惚れるタイプだったのだろう。自意識過剰ともいえる内容の一冊だが、一応は東京拘置所の状態や死刑囚の生活などについても書かれているので、その点を知りたいという人については、我慢しながら読んだ方がいいよという注釈つきでお勧めする。