
- 作者: ロナルド A.ノックス,澄木柚
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2000/07/01
- メディア: 単行本
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1933年発表。ノックスの第四作目。2000年7月、翻訳刊行。
買うだけ買って読むことができず、今頃手に取った。ノックスといえば『陸橋殺人事件』だが、皮肉の強いところがちょっと苦手。
さて、本作で最初にピンとこなったのは「駆け落ちゲーム」。ルールを把握するのに一苦労した。逆にサイロの構造はセメントサイロを思い出し、それほど迷わなかったのは職業病か(苦笑)。
事件そのものは、ゲームに参加していないセシル・ワースリーがサイロで死んでおり、他殺か自殺か事故死か不明な状態で、保険会社の探偵であるマイルズ・ブリードンが事件の謎を解きあかすもの。こう書くと単純なのだが、本作はプロットが錯綜して、ストーリーを追いかけるのに一苦労。さらに邦訳が読みづらいことが拍車をかけている。もトンも文章もこんな面倒だったのかな。もっとも内容自体は面白い。推理というよりたまたま思いついた、という部分があるのは残念だが、事件自体の真相は意外なもの。いや、正確に言うと意外でもなんでもないのだが、事象から見ると意外っぽく見えてしまうのだから大したもの。その点では巧みに練られたプロットがお見事というしかない。
これでもう少しマイルズ・ブリードンに個性的な部分があると、もっと面白くなったんだけどねえ。犯人、というかプロットの意外性に、探偵役のエキセントリックさが見劣りするのはかなり残念。