平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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小林泰三『玩具修理者』(角川ホラー文庫)

玩具修理者 (角川ホラー文庫)

玩具修理者 (角川ホラー文庫)

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く……。

現実なのか妄想なのか、生きているのか死んでいるのか――その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。(粗筋紹介より引用)

1995年、第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「玩具修理者」に書き下ろし「酔歩する男」を加え、1996年4月、角川書店より単行本刊行。1999年4月、文庫化。



MEIMUの漫画は読んだ記憶がある「玩具修理屋」だが、ストーリーはほとんど忘れていた。今頃読んでみたのだが、確かにこれは衝撃的。背景の説明もないまま男女2人の会話で始まり、続いては女の独白が続く。驚愕の展開に驚きのラスト。少々グロい描写があって苦手な作風ではあるが、ストーリーの奇抜さとラストの驚きは読む価値があった。絶賛されたのも頷ける。

書き下ろしの「酔歩する男」だが、こっちはメインの登場人物が3人のみ。いわゆる永遠に繰り返される人生を描いた作品だが、自分の読解力が低いのか、説明が難しすぎるのか、この作品の"真の恐怖"を理解するのに苦労する。というか、いまでもよくわからない。説明文が多すぎるし、似たような展開が延々と繰り返されるし、読んでいるこちらの方が酔ってふらふらしそうな作品である。