- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2002/10
- メディア: 文庫
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1999年10月、双葉社より刊行。2002年10月、文庫化。
ハードボイルドとマーロウにとことんこだわり、同じ行動を取ろうとしてことごとく失敗する最上や、なんだかんだいいながらいいコンビワークを見せる綾とのやり取りが面白い。もちろんハードボイルドを馬鹿にしているわけではないから、小説上の理想と現実とのギャップが素直に笑える。おまけに相棒は、さらにギャップが大きすぎる。よくぞまあ、こんな設定を考え出したものだ。
前半は笑いばかりだが、殺人事件が発生した後半でも、締まりのない行動と思考は止まらない。しかしそれすらも逆手に取ったラストは、なかなかほろりと来るものがある。なんだかんだいいながら、「優しくなければ生きてはいけない」を最上は実践できているのだろう。
以前から薦められていたのだが、ようやく読むことができた。なるほど、これはハードボイルド史の片隅に書かれてもおかしくはない作品だろう。さて、『サニーサイドエッグ』も読むこととするか。