- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1984/08
- メディア: 文庫
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1981年6月、『小説現代臨時増刊号』に掲載。1981年11月、講談社より刊行。1984年8月、文庫化。
伊集院大介の3作目で、古き良き探偵小説の設定をそのまま現代に持ち込んだ作品。九州の山奥にある、文明から取り残されたかのような、古い風習の残る村。葬式があるから帰れと言われるも、頼み込んでなんとか村に入ったはいいが、嵐で橋が落ちて閉じ込められる始末。そして動機が不明なまま、一人一人が続けて殺されていく。しかも見立て殺人にダイイングメッセージ。これでもかとばかりの内容がそろえられている。おまけに「読者の挑戦」まで出てくるのだから、本格探偵小説ファンにはたまらない設定。手掛かりらしい手掛かりもないまま、根拠のない推理で犯人が恐れ入ってしまうのは非常に残念だが、最後の仕掛けも含め、なかなかの仕上がりにはなっていると思う。所々で繰り広げられる現代批判も、栗本薫らしい視点の一つなのだろう。
だが、読んでいて全然面白くないのは何故だろう。どうも、伊集院大介というキャラクターが飄々としすぎて、好きになれない。ワソトン役の森カオルは自意識過剰が強すぎて、好きになれない。主人公二人が好きになれないのだから、面白いはずがない。さらに伊集院がいるせいかどうか不明だが、連続殺人が起きていても緊迫感がない。これでは、ミステリとして楽しめるはずがない。
毎度のことながら、女性作家の場合ウマが合わないケースがあるのはなぜなんだろう。読み方が悪いとは思っていないのだが。